隕石であることを確認する2

Richard O. Norton, Rocks from Space

ウェザード隕石の概観

知られている隕石の約3分の2は発見された隕石です。これらは何年も、あるい は何世紀も風雨にさらされていました。地球は隕石にとって異質な環境です。こ こでは地球上の石と同様の仕組み、化学的ウェザリングを受けます。特に砂漠な どでの極端な気温の変化は膨張や収縮を促します。寒冷地では霜が潜り込むため に、隕石にはひびが入り、割れ、風で転がり、砂塵に飲まれるかもしれません。 化学的ウェザリング(酸化)はさらに破壊的で、最終的には古いフュージョンク ラストをはぎ取ってしまいます。注目すべきことは、同じ落下でも隕石によって ウェザリングに対する抵抗力が異なることです。フュージョンクラストは黒から 淡い茶色まで様々ですが、後者は化学的によりウェザーされています。古い隕石 には、内部の筋に沿って深い割れ目があるかもしれません。そこが水の通路とな り、じわじわと内部を変えていきます。隕石に含まれる鉱物は酸化して、再結晶 し、化学変化を起こし、最終的に隕石としての価値である宇宙の特徴(cosmic characteristics)を失ってしまいます。

鉄隕石は簡単に錆びてしまい、元のマグネタイトクラストを破壊してしまいます。 キャニオン・ディアブロなどはその典型です。これらが掘り起こされたときは厚 い、錆でできた鱗に覆われていました。ある意味、これ以上の酸化を遅らせてい るため、錆びが隕石を守っているともいえます。

これは堅い金属ブラシで取り除くことができます。すると次は、地上で生成され た、マグネタイトの黒い殻が現れます。その下にある黒いものは、もともとは銀 色の鉄・ニッケルだったものです。隕石からマグネタイトの殻が完全に取り除か れるには何百時間も転がらなければなりません。すると『ナゲット』が残ります。 普通の石質隕石の内部には鉄・ニッケルの粒が含まれています。中には、隕石に 含まれる 25% の鉄が金属であり、そのままの状態で存在しています。隕石の内 に入っているとしても、こうした鉄も酸化や錆びの被害にあうことがあります。 ひどくウェザーされた石質隕石などは、しばし、少量の鉄のフレークが見えるだ けということもあります。たとえ昔は大量の鉄が含まれていたとしてもです。

砂漠などの気候から見つかった鉄隕石には、カリーチ(硝酸ナトリウム)と呼ば れる、炭酸カルシウムの固い物質が見られることがよくあります。この目障りな 白い物質は隕石にしっかりとくっついており、機械で簡単に除去することができ ません。しかし、これは強めの硫酸を隕石に塗ることで化学的に溶かすことが可 能です。

酸は炭酸塩も攻撃しますが、これの実験は、酸が隕石の砕けた部分に入り込まな ければ大丈夫です。もし隕石が研究に使われるわけではなく、展示されるだけで あれば、炭酸塩の化学的除去は、錆びの層を取り除く前に行わなければなりませ ん。隕石の保護をするためです。

湿気のおおい気候では、鉄隕石はすぐに錆びてしまい、ラミネート状の泥版のよ うな物質になります。この段階のウェザリングではもう隕石と呼ぶわけにはいき ません。完全に地球の石となってしまいました。

4億5千万年前の、オルドビス期からの『化石』隕石2つを除けば、最も古い隕 石は、70万歳で、南極から来ています。地上の環境では隕石は生き残りづらい ようです。

ローレンサイト『病』

自然にさらされた隕石はぼろぼろと崩れて粉になる運命です。保護ディスプレイ ケースや引き出しにしまったとしても、ウェザリングの問題がなくなるわけでは ありません。

ほとんどの隕石にとって、最も深刻なタイプのウェザリングは慎重に集められ、 保存された後でも続きます。鉄を含む隕石にしばし見られる『癌』は、まさに隕 石をばらばらにします。これは塩化第1鉄(ferrous chloride)鉱物、ローレン サイト(lawrencite)のせいです。隕石の鉱物ではないのですが、大気中に含ま れる塩素(chlorine)が拡散して隕石の内部に生成されます。ローレンサイト空 気中の酸素や水と化学反応を起こして酸化し、塩化第2鉄と水酸化第2鉄(ライモ ナイト・褐鉄鉱・limonite)を生成します。これは緑茶色のねばねばしたものを つくり、これが鉄隕石のウィドマンステッテンプレートの間から出てきます。

そして塩化第2鉄には2つのことが起こります。鉄との接触によって塩化第1鉄に また戻ってワンサイクルすることによって量が減るか、水と化学反応を起こすこ とによってライモナイトと塩酸を生成し、隕石をすぐに浸食して、切断面のウェ ーブに伸びるウィドマンステッテンプレートの間に茶色っぽい錆びをつくるかで す。反応は内部で起こるため、ウィドマンステッテンプレートはゆっくりと持ち 上げられます。こうしたことが原因で隕石がバラバラになるのです。

カンザスのブレナム・パラサイトは、非常にローレンサイト病に侵されやすいで す。鉄・ニッケルのネットワークに黄緑のかんらん石の結晶が美しい、ブレナム パラサイトの板がゆっくりと分裂していくのは非常に悲惨です。鉄が攻撃される と、囲まれているかんらん石がゆるみ、隕石から落ちてしまいます。最終的には 鉄のネットワークは錆びきってしまい、隕石は小さな破片に分裂します。

この反応は空気でおこり、隕石の内部で進行するため、何も対応することががで きません。はローレンサイトに侵された隕石を、ドライ窒素(?)の詰まった密 封ケースを使ってコントロールしようとしている博物館もあります。運のいいこ とに、鉄を含んだ隕石すべてがローレンサイトを含んでいるわけではなく、同じ 落下からの隕石でも、隕石によってローレンサイトの量も大きく異なります。フ ィールドでは、ひどく錆びている隕石にはまずローレンサイトが含まれています。 カットして内部をさらけだすことは問題を悪化させるだけです。

酸化鉄

ほとんどの人は、隕石というと重く、穴がいくつもあって、黒いモノだと考えて いるようです。こうした表面的な特徴は隕石に当てはまることもありますが、残 念なことに地球の石にも当てはまるのです。メテオロング(隕石だと勘違いされ る石)で最もありがちなのがマグネタイトです。普通の地上の鉱物で、アメリカ 南西の砂漠に転がっています。この金属質の鉱物はただ鉄が酸化したもので、鉄 の鉱石として埋まっています。マグネタイトは黒く、さらに硬い物質でこすると 黒い線を残します。上薬のついていない磁器タイルのようにです。それは濃く、 黒く、マグネットに引き寄せられます。その親戚であるヘマタイトも酸化鉄です が、こちらは地球のもののように見え、薄い茶色、赤、黒などの色がついている ことがあります。これには赤茶色の線がつき、マグネットには引き寄せられませ ん。石質隕石は金属質の鉱物と違って線がつきません。これは殻が主にガラスで できているためです。鉄隕石は、マグネタイト殻が新鮮であれば薄い線を残しま す。

人工物

地上の鉄はそのまま見つかることはありません。つまり、純粋な鉄だけでです。 これは、鉄が簡単に酸化してしまうことと、酸化の過程のどこかで見つかる、あ るいはかんらん石や輝石など、一般的に石を作っている他の鉱物とくっついて見 つかります。マグネットに強力に引きつけられ、引っ掻いたり、切ったりすると 金属っぽい外見をもっているものは、鉄隕石か人工物かどちらかでしょう。錆び た鉄の人工物・・・おそらく1世紀以上前の、古い工具や機械・・・は、砂漠中 にあります。西部の山や砂漠は鉄の人工物のゴミ捨て場となっています。それら の多くは、原型をとどめていません。ふくれあがる人工物のリストに最近入った ものでは、軍隊が戦時中の作戦で残した、爆発した爆弾ケースの残骸です。私も、 こういったものを調べて欲しいと頼まれたときは、一見しただけではわからない ことが何度もありました。1世紀や、さらに長期のウェザリングが鉱夫のつるは しや線路の釘を変形し、鉄隕石のように見えてしまうのですから驚きです。ただ し、削ったばかりの面を調べてみると詐欺師の正体は大抵分かります。

見た目だけ・・・

砂漠には緑がほとんどないため、隕石をハントするにはもってこいです。砂漠に は角張ったものや丸まった石がたくさんあります。角張ったものは大きな石が壊 れた破片ですが、丸まった石には水溶性の(???)歴史があります。何世紀も 何世紀も断続的に続く砂漠の流れを転がり続け、だんだんと丸くなってきたので す。多くは、ゆっくりと砂漠のワニスをまとっていきます。マンガンの鉱物の汚 れでできた薄いベニヤで、時間がたつにつれて黒ずんでいきます。この丸い、汚 れた石は、特に壊れて明るい内部が見えると石質隕石に見えます。ここでも、内 部の決定的な調査が地上の石の特徴をあらわします。

穴のあいた石

多くの人が、隕石を思い浮かべると、それは穴だらけのもののようです。事実、 隕石には・・・特に鉄隕石には・・・窪みや深い穴が融除プロセスによって作ら れることがあります。普通の地上の石で穴がいっぱい開いているものには、溶岩 があります。アメリカ西部では長い火山の歴史があり、溶岩の残骸はどこにでも あります。この溶岩のほとんどは玄武岩と呼ばれる、暗い色の火成岩です。たい てい静かに噴火し、噴石丘の側面の裂け目からドロドロと出てきます。玄武岩は しばし泡をつくるガスと混ざります。玄武岩が冷えて固まると、泡はちいさな穴 として石に残ります。濃い石(玄武岩には鉄が多量に含まれているため)、黒っ ぽい色、多くの穴・・・・これが最もありがちな偽隕石です。