隕石であることを確認する1

Richard O. Norton, Rocks from Space

ほとんどの隕石は、面白い石を探している人たちによって見つけられており、科 学者に見つけられるわけではありません。一般に、発見者が報じる特徴は、その 石が黒くて重いということです。ほとんどの隕石は地球上の石より重くなってい ます。これは、隕石には鉄・ニッケル合金が含まれているか、鉄を含んだ鉱物が 含まれているせいです。大きく分けた3種類の(鉄、石質、石鉄)隕石のうち、 鉄隕石には約98%、石質隕石には23%、石鉄隕石には約50%の鉄・ニッケ ルが含まれています。重いのに加え、これらはたいてい黒い色です。しかしこれ だけでは石が隕石かどうかは見分けられません。隕石が鉄だけでできていると考 えている人は多いようですが、ほとんどの隕石は石であり、見かけだけでは地球 の石とかわりません。

隕石の統計

1985年の Catalogue of Meteorites (田中注:隕石の資料としては最高峰 にあります。2000年6月に新しいエディションが発売予定でしたが、どうや ら遅れているようです)には2611種(田中注:科学的種別ではありません) の認証済み隕石が記されています。このうち、1823(69%)は石質で、7 25(28%)は鉄、そして73(3%)は石鉄です。しかし、この統計はちょ っと誤解を招いているようです。リカバーされた隕石すべての鉄-石の比率だと 思われがちだからですが、事実は違います。週末ロックハンター(田中注:週末 だけ趣味で石を探して歩く人)に発見される隕石のほとんどが鉄ですが、これは 人々が隕石がもっていると思っている特徴が、鉄の特徴だからです:重くて、黒 い・・・・。人々はもっと全然普通にある石質隕石を見落とします。地球上の石 と似ているからです。

目撃された落下(Witnessed Fall) VS 発見隕石(Finds - 田中注:目撃されて いない隕石のこと)の石と鉄の数を調べると、もう少し良いアイデアが得られる でしょう。知られている725種の鉄隕石のうち、42種、または5.8%、だけ が目撃された落下からです。知られている1813種の石質隕石のうち、853, または47%が目撃された落下からです。この数は決定的です。ほとんどの隕石 は石質なのです。事実、94%を超える目撃された落下は石質であり、ほとんど の母天体が石質で構成されていることがわかります。鉄の母天体のほうが断然珍 しいに違いありません。石鉄はもっとも希少です。現在73種類あり、そのうち 10種類は落下からです。石質隕石は(知られている)隕石全体で2.8%しか存在 せず、最も珍しいものとなっています。

見た目

フィールドにある隕石はたいてい目立っており、地元の石とははっきり区別する ことができます。見分けられるようになる一番の方法はできるだけ多くのサンプ ルを見てみることです。博物館には奇怪な形をしたもの、巨大なもの、実験によ って目を見張るような内部構造が見えるものが展示してあることが多いでしょう。 私はこれは、ある意味、公共の博物館の欠陥だと思います。地質学の学生は、鉱 物博物館にある美しい標本を見て鉱物について学ぶことはありません。これは地 質学者がフィールドでそんなすごい石を見つけることはめったにないからです。

したがって、私たちは地上に隕石が何年もあった場合のものと、環境による変化 や酸化の痕などを取り除き、きれいにされた後の隕石の特徴を見ていきましょう。 どちらも重要です。

見た目に加えて、メテオライトハンターは10倍の拡大鏡で見たときの特徴も知 っておく必要があります。そしてほとんどの石質隕石も鉄を含んでいるため、多 少磁石に引き寄せられます。この二つはメテオライトハーンターの必需品です。

隕石の形

隕石は大気を突き抜ける時のフォース(力)で変形します。宇宙空間にあるとき もし流星体が角張っていれば、大気圏を、ランダム回転して突き抜ける際の融除 プロセスで角が丸まります。これによって隕石は丸まり、だいたい球形になりま す。

しばし、流星体は大気圏に突入するとすぐに安定し、回転しない、あるいは進行 方向の軸を中心に回転します。これによって先頭面がとがるように角が削られて いき、鈍い点のようなものになります。逆の守られている部分には、先頭のほう から融除された物質が集まっていきます。結果はコーンのような形になり、オリ エンテッド(方向づけられたの意)と呼ばれます。だいたい石質隕石の5%ほどに は何らかの程度のオリエンテーションが見られます。球形の隕石は飛行中にオリ エントされることはありませんが、融除プロセスのなかでも、回転することで元 の球形を保持しています。平らなものや角張ったものはオリエントされやすくな っています。オリエンテッド隕石は博物館のものでも非常に価値があります。

石質隕石は鉄隕石よりなめらかなものが多いです。一般的に窪みや穴も浅くなっ ています。大抵大気中でバラバラになってなめらかな融除された破片として落下 し、不規則でなめらかにうねっている表面をもって地球に降り立ちます。もとの とがった割れた痕は丸くなっているでしょうが、平らな面は残ることが多々あり ます。石質隕石は地面にたたきつけられると砕けることが多く、破損した場所で 角張ったものを出すこともあります。砕けたばかりのときであれば、内部はとて も明るい色をしており、熱は全く持っていません。

鉄隕石の形はいろいろあります。鉄隕石は大抵かくばっています。インパクトで バラバラになるとなおさらそうです。ときおりオリエントされている場合もあり ます。事実、ナイニンジャーの予測では、28%もの鉄隕石がオリエンテッドです。 最も有名なものは、15.5トンのオレゴンのウィラメット隕石でほとんど完全なコ ーン形に、大きい、ほとんど真っ平らな後部と巨大な穴があります。オリエンテ ッド隕石にはしばしなめらかな先端に、後ろに行くにつれて伸びている窪みや溝 がみられます。

窪みは石質に比べて鉄にたいへん多く見られます。窪みは浅く伸びていて、パテ に親指で痕をつけたようで、しばし『拇印』とも呼ばれます。専門的には regmaglypts、または piezoglypts と呼ばれます。窪みのエッジは大抵とがって おり、いくらか盛り上がっています。これらはおそらく融除の差によるところで す。表面近くにある、融点低い鉱物(troilite)の粒などは溶けきってしまい、 窪みが残ります。もし融点が低い鉱物が隕石に大量に含まれている場合は、融除 プロセスによって異様な形に彫り込みがつけられます。オーストラリアのマンド ラビラ鉄隕石はこうした窪みが特徴的です。1938年にカリフォルニアのモドック 州で見つかった、有名なグースレイク隕石は著しく球形の穴があいています。穴 の入り口は実際の穴の直径より小さくなっています。こうした穴ができる理由は まだわかっていません。ツーソンリング隕石のように、穴はしばし隕石を貫通す る形で融除されます。

大気による分裂や地面との衝突による鉄隕石の破片からは、シコタリンやヘンブ リーのようにねじれて歪んでいます。鉄隕石の穴のエッジにはとがった点がある ことがが多く、拇印の表面にアクセントを加えています。こうした点は(地球上 の)環境の影響でできたと思われます。

表面がもっとも粗いのは石鉄隕石です。特にパラサイトがそうで、鉄のネットワ ークにかんらん石のクリスタルが埋め込まれています。しばし、かんらん石の粒 は落ちてしまい、鉄のネットワークをまるだしにします。こうしたことは、何年 も(地球の)環境にさらされた隕石には特に顕著で、粗いテクスチャを作ります。

フュージョンクラスト(溶融殻)

もしリカバーされた隕石が新鮮であれば外皮があるはずです。これは融除効果に よってできたものです。隕石の外側が融点に達すると、その物質が流れ始めます。 液化した石はほとんど飛行機雲となって、完全に融除されてしまいます。残りは 隕石を覆います。ある程度組成に左右されますが、隕石の殻は普通黒です。殻は ガラス質の物質で、内部を作っているシリケイト(ケイ酸塩)と構成は似ていま す。鉄が含まれている場合は、たいてい酸化してマグネタイト(磁鉄鉱)になり ます。これがすぐにガラスと混ざり黒くしてしまいます。時には、殻を調べるこ とで隕石の構成を推測することができることもあります。淡い色の殻がある珍し い隕石もいくつかあります。ノートン・カウンティー・エイコンドライトには遊 鉄がなく、薄い茶色の殻がありますが、内部とは明らかに異なっています。もう 一つの珍しい石質隕石、カルシウム・リッチ・エイコンドライト(ユークライト) は熔けやすいシリケイトで構成されており、黒く輝く殻を作ります。これは普通 の隕石に見られる鈍く黒い殻とは大きく異なっています。

石質隕石の殻は1ミリに満たないものから数ミリまで様々で、オリエンテッド隕 石の場合前部と後部で厚みが異なります。前側の殻は最も薄くなっており、後部 は最も厚くなっています。これは熔けたガラスが後部に集まるためです。

流星体は飛行中に分裂することがあります。流星体がまだほとんどのコスミック ベロシティーをもったまま、高い高度で砕けると新しく壊れてできた表面もフュ ージョンクラストを帯びることになります。これは2次クラスト(2次殻)と呼 ばれます。これはプライマリ・クラスト(主要殻、1次殻)より薄いため、大抵 見分けることが可能です。壊れてできた面は融除プロセスの影響をあまり受けな いため、プライマリ・クラストほど滑らかではありません。表面はこぶだらけの ことがよくあり、内部テクスチャが現れています。リターデションポイントを過 ぎた後に砕けた場合は、砕けてできた新しい面にはフュージョンクラストは生成 されません。これはインパクト時にさらに砕けることがあり、フュージョンクラ ストのない新鮮な、砕けてできた面ができます。

鉄隕石の殻は最も薄く、普通何分の1ミリほどしかありません。新鮮な殻は青黒 か黒で溶接されたスチールのように見えます。これは鉄マグネタイトのみででき ています。この殻はもろく、短期間でも環境の影響ですぐに破壊されてしまいま す。

フュージョンクラストからは筋がみられることがあります。こうした、飛行の方 向を示すものはオリエンテッド隕石の場合に見られ、全部から横に、そして後部 に流れています。こうしたフロー構造はルーペや鉱物顕微鏡で見ると良いでしょ う。こうした繊細な特徴は新鮮な隕石からしか見られません。

石質隕石の殻には、焼き物の上薬にみられるようなひびが見られることがありま す。これは急冷されて、溶けていたガラスが収縮したためです。