燃えさかる流星体は融除によってすぐに質量を失い始めます。融除された部分は表面の上昇した熱を奪っていきます。その後まずその物質は蒸発し、冷えるにつれて凝縮します。それは長細い塵や雲として火球のあとに残ります。この雲のような物質は非常に興味深いものです。失われてしまう質量はその隕石の組成によります。鉄隕石よりも崩れやすい石質隕石は、より多くの質量を失います。それでも、極東シベリアのシコタリン山脈に1947年に落ちた鉄隕石のダストの雲は200トンにものぼります。残った『隕石』が70トンしか無かったことを考えると、驚くべきことだといえるでしょう。そしてこのうち25トン分の隕石がインパクト地点で見つかっています。隕石のほとんどの部分は一度蒸発し、また凝結して雲となったようです。この物質は普通、夜光り、大気中に何時間も残ります(田中注:シコタリンの切手にある飛行機雲がこれです)。上空高くにある気流がこれをまき散らし、最後にこれらはマイクロ・メテオライトとして地上に落ちることになります。
運動エネルギーが熱と光りに変換されることで、流星体は急速に変化します。大気圏突入時のベロシティーが高い流星体ほど、より強い大気の抵抗をうけ、融除の量も大きくなります。グラフで簡単にわかるように(田中注:本にはあります)、1トンの鉄隕石の突入時のベロシティーが、地球上に達したときとのパーセントとの関係で表されています。突入時12マイル/秒と24マイル/秒の流星体が45度の角度で大気圏に突入したときの状態が比較されています。どちらのケースでも最大の融除は10から20マイルの時です。高いベロシティーをもった隕石はより大きい被害に遭うため、55%ほどしか走りません。ベロシティーが低い場合は86パーセントほど残ります。突入時のスピードが2倍になると失う質量は3倍になります。さらに突入スピードが速くなると、失う質量も大きくなります。こうして多くの流星体は地上に達するまでに破壊されてしまいます。目撃されている火球のうち、隕石として生き残ったものは大体12から15マイル/秒のベロシティーを持っています。
多くの流星体はこれよりずっと速いスピードで大気圏に突入し、生き残ります。流星体は運動に抵抗する、気圧による巨大な力にぶつかります。多くの場合、石質の流星体に、特に先端にかかる力だけで、それを小さい破片に砕いてしまうほどです。こうした破片は大きく、一体だけのものよりも生き残るチャンスが高くなります。小さい体の石は大気で十分にスピードが落とされることで、加熱や融除の起こる程度が低いためです。母体が高いベロシティーを持っていたとしても、分裂することで各破片は生き残るときがあるわけです。時には火球が小さな火球に分裂するため、軌道にそって光ることがあります。何百、何千もの隕石が広域に降る『隕石雨』の多くは間違いなく巨大な一体が分裂したためにできた結果です。
多くの流星体はコスミックベロシティーを適当な高度で失います。したがって、最終的に地球に落ちてくるのは重力の力のみによることになります。隕石が地球に激突する際のベロシティーは、大気圏突入時のコスミックベロシティー、最初の質量、そしてサイズと形によって、複雑に決定されます。
流星体のベロシティーは空気抵抗を決定し、形とサイズが引き込む力を決定します。垂直からほとんど水平まで、大気圏に突入する角度も引き込む力に影響します。浅い角度(田中注:水平に近い角度)の場合長いより長い間大気中を飛行することになります。したがって、浅い角度の場合、融除の量も大きくなり、より多くの質量を失うことになります。
多くの変数を考慮しなければならないので、インパクトする流星体のスピードを求めるのは複雑な計算を伴います。落下する様々な質量の流星体の状況をいくつかのセットに分けて選択することでインパクトベロシティーについて少しわかります。51ページのグラフは200ポンドから何百トンの流星体が、大気の引き込みによって突入時のコスミックベロシティーを失うことを示しています。垂直に大気に突入する隕石は、24マイル/秒の場合、流星体のスピードは大気によってだいぶ遅くなります。何百ポンドから1トンを越えるものは、地表から何マイルも上空にあるとき既にコスミックベロシティーをすべて失います。その、りターデーションポイント(田中注:遅れる・・という意味。スピードとか知恵とかに使われます)といわれる高度に達すると、今度は重力のためにスピードが増します。これは毎秒、32フィート/秒増して行きます。この普通のスピードで加速するとはいえ、大気はフリーフォールしているボディに抵抗します。フリーフォールを初めて2,3秒後には、残っている質量によりますが、流星体は200から400マイル/時間の末期スピードになり、それ以上はスピードが上がることはありません。
大気の抵抗と重力による力が均衡になったとき、流星体のスピードは溶融や周囲の空気のイオン化をするには遅すぎ、隕石からこれ以上光りがでることは無くなります。そして黒い固まりとして落下します。その比較的遅いスピードで、ベースボールやバスケットボールのサイズの流星体(正確には現在隕石)は、地球にぶつかっても地面にささることはありません。何トンもの大きな隕石は自分と同サイズか自分の直径より少し大きい穴をあけ、数フィートほど深く地面に突き刺さります。突き刺さる深さは、ぶつかる表面の質によるところが大きいです。石質隕石が硬い岩石質の表面に200マイル/時間のスピードでぶつかると粉々に砕ける傾向があり、実際に多くはそうなっています。しかし、鉄隕石はもろくなく、伸び縮みする率が高いので、こうした低いベロシティーでのインパクトから生き残ります。何トンもの大きい鉄隕石は無傷で見つかっており、浅い貫通穴を除けば、ほとんど何のインパクトの形跡も残さずに、堅い表面に悠然と座っています。
突入してくる流星体は、10トン以上のものは破壊されてしまう確率が高くなります。10トンの隕石は6パーセントのコスミックベロシティーを保ちます。もしそれが24マイル/秒で飛行していると、残るコスミックベロシティーは1.4マイル/秒になります。これは信じがたいことに、地面にぶつかるとき5200マイル/時間になります。インパクトスピードは質量が大きくなるにつれて急速に速くなります。100トンの隕石はコスミックスピードの半分、つまり12マイル/秒をもつことになります。
幸いなことに、100トンクラスの隕石はほとんど存在しません。現在地球上には一つも無いと言われています。100トン以上の隕石は生き残らないという良い理由があります。何百、何千トンもの隕石は大気によってあまりスピードが落ちないため、コスミックベロシティーの大部分を持ったまま地球にぶつかります。これらは地球との衝突によって破壊されてしまいます。激しく爆発し、つかの間の栄光を記すインパクトクレーターを残して・・・。
地球で最大の隕石は1920年に南西アフリカのナミビア、Grootfronteinの西12マイルほど行った農場で発見されました。目に付くほど四角い鉄隕石は9フィートx9フィートx3.5フィートで、約60トンだと考えられています。これはライムストーンのたった5フィートほどのへこみにありました。これは古代の隕石でかなりの環境の影響を受けています。インパクトによって作られた穴はずっと大きく、深いものだったと思われます。何世紀にもわたる環境の影響がライムストーンを削って行ったため、一度は埋まっていた隕石が日の目をみることになりました。