落下する隕石の影響(パート1)

Richard O. Norton, 1998 (2nd ed.), Rocks From Space (Ch.3 P43-P49)

落下の特徴

落下する隕石には光と音が必ず伴います。火球は比較的広範囲で確認され、最終的に落ちる場所から何百マイルも離れたところで目撃されることもあります。音は、広範囲で聞かれることもあるのでしょうが、普通はインパクトポイント(田中注:衝撃点。つまり落下地点)から、25から30マイル以内でしか聴かれません。

燃えさかる隕石が最初に肉眼で識別できる高さになるのは、大気の一番上に達したときのの大きさとベロシティー(田中注:方向性を持った速度。方向性のないものがスピードです)によります。宇宙空間の隕石はすべてコスミックベロシティー(田中注:宇宙のスピード)で動いています。小惑星帯から地球の軌道に入ってくる隕石は角度の鋭い楕円形の軌道を持っています。これらのコスミックベロシティーは地球の近くでは26マイル/秒にもなることがあります。一般に隕石は、前から、あるいは後ろから地球の軌道を楕円形に横切ります。よってそのスピードは大体10マイル/秒から26/秒くらいです。

物理が説明

隕石が地球に落下するのはドラマチックなことですが、その特徴は予想することができます。運動しているものはすべて慣性、つまり物体による運動の変化へ抵抗する力を持っています。速度を上げたり、下げたり、方向をかえたりといった、運動を変化させるために必要な力は物体の運動量に依存します。

運動量は、物体の質量、含まれている物質の量、そして速度とベロシティーによって成り立っています。ボディに含まれる質量が大きければ大きいほど、あるいは旅行する速度が速ければ速いほど、その運動を変化させる力も大きくなります。1トンの流生体が25マイル/秒で地球の大気に衝突するとき、その運動量は大変大きいものです。それを減速させる力も同様に巨大なものですが、それが大気で作られます。大気は流生体を引きずり込むことで運動量を減らし、ベロシティーを遅くします。摩擦過程によって質量が減り始める温度まで加熱することで、さらに運動量を減らします。

運動している物質はその運動に関係するエネルギーも持っています。これは運動エネルギー(田中注:日本語訳が正しいかどうか不明。キネティック/カイネティックエナジーです)と呼ばれ、物質量とベロシティーと関係していますが、今度は量が異なります。数学的には次のとおりです:KE = 1/2mv2

運動量と同様に、流星体の質量とベロシティーが大きければ大きいほどその運動エネルギーも大きくなります。流星体が100万トンなどの巨大な質量を持っていない限り、ベロシティーがより重要な要素となります。運動エネルギーの方程式で注目すべきところは、変化がベロシティーの2倍によっているのに対し、質量の一倍(田中注:つまりそのまま)でしかないということです。例えば、もし2つの流星体が同じベロシティーを持っていて、片方が2倍の質量をもっているとすると、大きい方は2倍の運動エネルギーを持っています。同じ質量で、ベロシティーが2の因数分異なる流星体2つの場合は、高いベロシティーをもった流星体の方は4倍(v2)の運動エネルギーをもつことになります。一般には運動している物体の質量は一定ですが、大気を駆け抜ける流星体は質量をかなり失うことになります。この場合は特別ですので、質量は変数としてみなされる必要があります。

落下中の流星体の運動エネルギーは、他の形のエネルギーに変換することが可能です。運動エネルギーはそれが生き残るためのすべてという意味です。大気による抵抗がこの運動のエネルギーを熱、光、音に変換することにより、大気の上層に達するときの運動エネルギーが大きければ大きいほど、大気がその流星体を引き込む力も強くなり、より早く加熱します。

光の現象

火球の光は2つの全く異なったメカニズムにより発生します。固体自身の炎上と、炎上している物体に接している周りの大気が光輝くことによってです。流星体は普通光を発しませんので、高度60から90マイルほどになるまで確認はされません(田中注:地上から肉眼でです)。それより高度が高くなると空気が薄いため流星体を引き込む力が弱すぎます(低い高度で回っている人工衛星は高度90マイルほどです)。これより低い高度になると流星体の運動に実質的な抵抗が生まれる程度の大気の濃さになります。この時点で流星体はその運動エネルギーの一部を熱に変換し始め、流星体の外側を溶かしだして光を発します。その温度は華氏氏3000度(田中注:約摂氏1649度)を超えます。石の表面は事実上液化し、物質がはげ落ちはじめます。そしてその直後融解した物質は蒸発します。流星体にとっては大惨事なのですが、高い高度にあるためこれだけでは気づかれるようなことはありません。しかしながら、加熱が続くにしたがって、炎上している隕石のまわりの空気はイオン化していきます(電子を失います)。大気中のガスは電子を再び取り込むと光を発します。これによって空気自体が光り輝きます。大気圏に突入したときは直径1,2フィートでしかない隕石でも鈍く光る空気のマスは何百フィートにも及びます。これが地球上から確認できる火の玉です。光りを発する空気のマスです。

火球を目撃した人は一般に色も見ます。この色の起源は2種類あります。蒸発する物質の組成と、熱い流星体をつつんで光る空気の組成です。多くの物質は蒸発する際に特徴的な色を発します。例えば、ナトリウムは強い黄色を出し、ニッケルはグリーン、マグネシウムは青白く光りますが、これらの物質は隕石から検出されています。大気中のガス(田中注:つまり大気ですが・・・)も活性化して光りをはなつとき、独特の光りを発します。オーロラにある、酸素と窒素による緑と赤の光りは一般的です。火球はその軌道を進むにつれて色がかわることがよくあります。典型的な例では、火球は白く輝く状態にあり、火が消える直前に赤くかわります。あるいは色のスペクトルを見せてくれる7月4日(田中注:アメリカにおける英国からの独立記念日)の花火のようです。

火球の唄

隕石になる火球は様々な不協和音も発します。音速で、またはそれ以上のスピードで飛ぶ飛行機は圧力波(田中注:正しい日本語訳かどうか不明。Pressure waves)や衝撃波がその飛行機の前に発生します。地上ではこの波は大きな爆発音、有名なソニックブーム、として聴かれます。流星体も類似した衝撃波を作りますが、音より遙かに速いスピードで飛行するために、何十秒から、1,2分ほどまでも音より先行します。火球を目撃した人の中には、火球が見えている間は音はまったく聞こえなかったと報告する人もいます。隕石が見えなくなって数秒、あるいは数分たった後圧力波が目撃者の横を通り抜け、数回にわたって爆音が聞こえます。空中で流星体が数個に分裂した場合は、破片一つ一つが自分の衝撃波を起こします。この場合、衝撃波同士が重なり合うために、遠くの雷のように続けてゴロゴロ鳴ります。多くの目撃者が火球を見ている間に聞いたとされる音に、ラジオのヒスのような音をがあります。中央オレゴンの火球があった場所でデイブ・コリスはこの音を聞きました(田中注:この人は他のストーりーにでてきます)。音波は光りよりだいぶ遅いため、2つの現象は同時には起こりません。音は聞こえないこともあります。ある目撃者は聞いているのに、別な場所から同じ火球を見た人は聞いていないといった場合です。オーストラリアの物理学者コリン・キー(Colin S. L. Keay)は、この300年も続いた謎を、エレクトロフォニックスという現象で解決しました。彼は、巨大な火球のプラズマの航跡が、低周波数無線である1から10キロヘルツで、数キロワットの電力を発生させます。こうした、光りのスピードで動く電波の伝達は、目撃者の付近で自然や人工のオブジェクトに当たると音に変換されます。電信柱、アンテナ、木、そして高い建物などは、電磁エネルギーを音に変換する自然のトランスデューサーの役割を果たします。トランスデューサーが付近に無い場合は目撃者が火球を見るのと同時に音を聞くことはありません。

インパクトポイント(田中注:衝撃点・落下地点のことです)の近くにいた人はヒュルヒュルした音も聞いていました。これが流星体がインパクトの直前に遅いスピードで空気を突き抜ける際の、本当の音である可能性があります。1987年に中央オレゴンで昼間にあった火球を目撃した人の多くが耳にした『ガチャガチャ』した音は、決して珍しいものではありません。目撃者の多くが、その音はパンクしているタイヤで車を走らせた時のようだと言っています。不規則な形状の物体が回転するときの音かもしれません。