Richard O.Norton, Rocks from Space (Appendix D, P415,416)
隕石のエッチングは、すでに素性がわかっている隕石をディスプレイしたいとき のみに有効です。もし新しい隕石をみつけたのなら、プリパレーション(用意)は 科学者にまかせてしまった方が賢明です。プリパレーションやコーティングする素材 が隕石を汚染し、隕石に含まれる歴史的情報を破壊してしまうためです。新しい隕石は展 示用の細工をする前に詳しく調べておく必要があります。
鉄隕石を上手にエッチングするには隕石がカットされて、その平らな面がやすり できれいに削られていなければならなりません。最初は粗いもので、だんだん細かいもの に変えてきれいにしていきます。600グリットで、エッチングに十分なセミ・ポリ ッシュ状態になります。
エッチングに使用する液体は、濃縮された硝酸と95パーセントのエタノールの混 合液です。硝酸は劇薬なので非常に注意して扱わなければなりません。混合するとき は、つねに硝酸をエタノールに注ぐようにります。絶対に逆にしてはなりません。必 要なものは:
このレシピでは 265ml のエッチング液が作れます。隕石を一つエッチングする だけでは多すぎるくらいです。隕石をたくさんエッチングする訳でなければ、こ の10分の1くらいで足りるでしょう。
エッチングに入る前にゴーグルと手袋をするのを忘れないでください。エッチン グは、蛇口から水のでる磁器のシンクで行われなければなりません。では、硝酸 を慎重にエタノールに加えるところから始めましょう。ガラス棒でよくかき混ぜ てください。隕石はとても不規則な形をしているかもしれません。その場合削っ た表面が水平にならないかもしれません。片手で石を支えるか、支えになるモデ リング用の粘土か何かを隕石の下に置くなどして、隕石の研磨面を水平にしてお いてください。
硝酸・エタノールの混合液を含ませるため、隕石を浅いガラス皿に置きます。 筆を使ってミックス液を表面に均等に塗り込みます。このとき常にブラシを動かし ておいてください。
常にブラシを動かすことで硝酸を均等に面に馴染ませます。この濃縮酸によって 1,2分でウィドマンステッテン構造が現れてきます。エッチングの進み具合 は写真を参照して判断してください(田中注:写真はついていなかったので、本 などにでているウィドマンステッテン構造を見てくださいということです)。エ ッチングが進むにつれて、カマサイト(田中注:鉱物の名前)が溶けだし、 テーナイト(田中注:鉱物の名前)のボーダ ーが残ります。サテンの光沢のようなものが見えるはずです。隕石を傾けると、 見る方向によって、金属の面が明るくなったり暗くなったりしているのがわかり ます。テーナイトは銀色っぽく光っており、カマサイトはよりサテンぽくなれば 終了です。お皿に入ったまま隕石を流水に当てます。この際、硝酸がはねないよ うに注意してください。隕石を5分ほど洗ってください。一度きれいに拭いて、 まだ使用していない250mlのエタノールに漬け込みます。エタノールがカマサ イト板の隙間に入り込んだ水を取り除く乾燥役になります。
約一時間ほどアルコールの風呂に隕石を浸けておきます。その後隕石を取り出し て、一番低い温度にしたオーブン(摂氏66度(華氏150度))に一時間ほど放置し ます。室温まで下げたら、最後に隕石を水平に木の板の上に置き、表面をコーテ ィングするようにまんべんなくポリウレタンをスプレーします。ポリウレタンが 隕石に美しい光沢を出し、外気による湿気やさわったときの指紋などから隕石を 守ります。もしスプレーする前に指紋を付けてしまったら、すぐに取り除いてく ださい。人体の油に含まれる酸は表面に指紋の刻印を残します。
これだけ手の込んだ乾燥・コーティング作業を経ても何ヶ月後にはプレートの間 に茶色っぽい錆が出てくるかもしれません。これは水分が閉じこめられてしまっ ていたか、『ローレンサイト病』によるせいかもしれません。ローレンサイト病と は、隕石が内部から攻撃されたという意味です。唯一の治療法は、もう一度磨いて エッチングを再度行うことです。もし隕石が小さければ、シリカゲル(乾燥剤) と一緒に、またはエッチングした面を下に向けて、チャック付きの袋やパッキン のついた容器にでもいれて保存するといいでしょう。