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エッチング、やってみました。
たまたま硝酸(nitric acid)、エタノールは下の工場にあり、他のアイテムもいろいろなもので代用したため、何も特別にそろえる必要はありませんでした。
『エッチング』と一言で言っても、普通はディスプレイするためにエッチングを行うため、エッチング以外にする作業がいくつかあります。全部まとめると次のようになります。
| @エッチング | 金属を腐食させてウィドマンステッテン模様を出す。 |
| A水分をだす | 内部の水を取り除くため、エタノールと硝酸の混合液に付けこんでおく。 |
| B乾燥させる | エタノールと硝酸の混合液を蒸発させるため、オーブンに入れる。 |
| C塗料をつける | 綺麗になった表面が酸化しないようにコーティングをする。 |
今回のレポートでは、@エッチングの作業のみと、それから別に試してみた実験についてです。
まず、用意したものです。
| 今回の道具 | 詳細 | 理想・普通は・・・ |
|---|---|---|
| ゴーグル | スキューバー用のもの | 化学実験用のゴーグル(あるのかな?) |
| 手袋 | 普通の台所用ゴム手袋 | ラテックスのゴム手袋(あっち系の趣味の方が使っているくらいですから丈夫です・・・ってことは黒が手に入り易い?) |
| ゴミ袋とタオル | エプロンのかわり | エプロンです。(化繊の洋服はやめたほうがいい・・・のでしょうかね!?) |
| ビン2つ | ニンニクの入っていたものです。サイズがわかるでしょうか、深くないものが良いです | エタノール・硝酸混合液を入れる(混ぜる)ガラスビン1つと、隕石に液を塗りこむための浅いガラス皿。アメリカのコレクターたちはパイレックスのものを利用しているらしいです |
| 割り箸 | 弁当につかったものの後ろ側 | ビンではなく、浅いガラス皿だったら箸は必要ありませんでした |
| ガラス棒 | 下の工場にありました | 洒落たガラス棒を持っている方はそれを利用 |
| ふで | 絵の具を塗るやつです。毛をはさんでいる部分がアルミニウムか何かでした。 |
筆の部分を止めるのに金属を使用していないもの、毛が硝酸で溶けるような材質でないもの・・・などでしょうか |
| 硝酸(25mlかそれ以上) | 下の工場にありました(なぜ?)。濃度60%のもの | 普通は手に入れるのに、印鑑が必要になります。一般の薬屋さんでは用意していませんが、工業用の薬品を販売しているところで手に入ります。硝酸以外の手に入りやすい薬品でも、基本的に鉄が溶ければ良いのだと思いますh |
| エタノール(250ml) | 下の工場にありました。 | ご近所の薬局で手に入ります。他のアルコールでも大丈夫です |
| 水のでる陶器のシンク | デスクのトイレ | 鉄だと硝酸で溶けてしまいますので。まぁ、濃い硝酸を直接垂らしでもしない限り大丈夫だと思いますが。 |
| 換気扇 | デスクのトイレ | どんなアルコールを利用していても、肝臓、腎臓、そして神経系にダメージを加えるというウワサがコレクターの間であります(お酒は控えめに)。換気は徹底してください。 |
| グラインダー | 機械で回転するやつです。 | うーん。モース硬度参照 |
| やすり | 多少表面をつるつるにするために使用 | |
| 人2人 | 指示する人(田中) 作業員(小笠原隊員) |
一人で十分ですが、何が起こるかわからないのでもう一人いたほうが良いと思います |
自分の持っている鉄隕石に平らな面があることはまずないと思います。その場合何らかの方法でカット面をつくらなければならないのですが、一般の方にカットは不可能に近いものでしょう。はっきりいってこれだけはお手上げだと思います。我々の場合は、まずやすりで削ることからはじめました・・・が、当然鉄で鉄を削るのは大変です。角を削るのは比較的簡単なのですが、削るだけで平面をつくろうとすると相当なものだということがわかりました。と、いうことであえなく挫折。
我々は結局グラインダーという文明の利器を使ってしまいました。やすりのついた円盤が電動で回転するものです。ただし一般の方は普通、やすりで何とかするしかないのでしょう。ここでやすりについての知識をすこし。モース硬度とは、どれくらいの硬さのもので引っかいたら傷がつくか・・・・そんな感じの指標です。黒っぽい色をしたカーボランダム(炭化硅素)の紙(布!?)やすりを使用しましょう。 これはモース硬度9。顆粒状の石英を使った紙やすりはモース硬度の7です。できるだけ硬いもので磨けば良いということです(ディーラーからEメールで受けとった情報)。鉄隕石の場合は鉄・・・とはいってもニッケルを含んでいる鉱物で構成されているため、一般の鉄より硬いと思われます。
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モース硬度
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解説 | 鉱物の例 |
|---|---|---|
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10
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天然石中の最高の硬度 | ダイヤモンド |
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9
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ダイヤモンドでキズがつく | ルビー サファイア |
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8
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日常生活ではキズがつかない | エメラルド アクアマリン トパーズ など |
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7
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ヤスリと同じ | ガーネット アメジスト ペリドット シトリン トルマリン めのう など |
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6
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窓ガラスとほぼ同じ | オパール トルコ石 ムーンストーン ひすい など |
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5
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ナイフでキズがつく | ラピスラズリ など |
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4
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鉄クギでキズがつく | さんご など |
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3
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銅貨(10円玉)と同じ | パール など |
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2
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爪でキズがつく | こはく など |
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1
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容易にキズがつく | 滑石 |
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宝石ショップ、ラフィネ(http://www.jewel-shop.net/)から抜粋
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さて、削ったあとの鉄隕石はというと、テカテカとそれはそれは綺麗になりました。が!!削っても削っても錆びている部分が、まるで金太郎飴のように・・・。亀裂がちょこっとあるとそこに水分や酸素が入り込み、中から錆びが広がるという話を聴いたことがあります。俗にローレンサイト病といわれるものです。この場合、実際そうだったのかわかりませんが、結構深そうだったので無視してエッチングに進むことにしました。
ウィドマンステッテン構造は向きによって見え方が大分異なるため、表面が駄目だったときのことを考慮して、側面(約5mm)の部分も削って磨いておきました。
お待ちかねのエッチングです。新人の小笠原隊員にゴーグルやらゴム手袋やらタオルやらと一式装着してもらい、便所で作業開始です。ビニール製のゴミ袋もかぶってもらいましたが、これが硝酸に対してプロテクションになっているのかは不明です。気持ちの問題だと思います。さて、とりあえず250mlのエタノールを用意し、ビンに入れました。そこにおそらく25mlほどと思われる硝酸(60%)のものを流し込み、ガラス棒でかき混ぜました。硝酸はもうひとつのビンに入れておいたのですが、入り口が狭くなっていたため、入りません。たまりかねて私が強引にビンをほぼ逆さにし、硝酸をエタノールに流し込みました。煙は出ませんでした。本当は飛び跳ねないようにガラス棒に伝えて混ぜ入れます。
さて、ガラス棒で混ぜて、混合液ができたらそれを筆の先につけて鉄隕石のカット面に塗りこみます。筆をはさんでいる部分がアルミニウムか何かだったのですが、これが硝酸で溶けたらこまると思い、浸けるのは控えました。うっすらと鉄が腐食していくのがわかるような気がします・・・・。ノートン(もともとのレシピの作者)の解説によると、1,2分で模様が出てくるはずだったのですが、3分ほども経ったでしょうか・・・それでもちっとも見えません。
そうこうしているうちに、小笠原隊員のゴーグルが曇ってしまい、『鉄の物体』以上の細かさが識別できなくなってしまいました。本当はしてはならないことですが、結局肉眼で模様を確認することになりました。 ん・・・やっぱり模様は出ていません。
どうして模様がでないのか・・・・。もめた結果、とりあえず少し硝酸を加えてみることにしました。既に使っていた混合液を空のビンに少し流し入れ、浅いプールを作ってから硝酸を入れます。これは、ノートンが口を酸っぱくして、『エタノールに硝酸を流し入れる・・・。絶対逆はしないこと!!』と書いていたためです。硝酸にエタノールを入れると煙でもでるんでしょうか??これは試してないのでわかりませんが。
多少硝酸の濃くなった、硝酸・エタノールミックスのプールの中で転がすと、どうやらどんどん汚れが落ちてきました。削った面にもきらきらとした部分が・・・・!!・・・・・・・・・が・・・が、です。どうやら模様はでているのですが、ちょっと違います。なんとなく、例のナイフの模様に近いようです。うねうねとしています。
『あー。角度が違ったんだ。』なんて言っていたのですが、そうです。角度が違っていたようです。・・・・・と、いうことは、そうなんです(アサヤン風)、横の細長い面をみると、美しいウィドマンステッテン構造がでていました!!
と、いうことで、エッチングは成功(!?)でした。その後、残りのミックス液に鉄隕石を浸けこむと、先ほどの模様がだんだんと濃く浮き出てきます。1時間から1時間30分くらい経った頃が一番良い状態でした。これは個人の好みによると思われます。同時に、液体のほうはどんどん茶色くなっていきます。錆びている部分が溶け出ているのでしょうか・・・。
今回は、オーブンがデスクのオフィスになかったせいもありますが、実験の意味もこめて、このまま浸けこむことにしました。すると、時間が経つにつれてキラキラと光る部分が多くなってきます。オモテ面にも何かが起こるのではないか・・・という期待があり、続けたのですが、2日経って出社してみると・・・・錆びは増えているは、綺麗なウィドマンステッテン模様はぼろぼろになっているは・・・・。というわけで、ちょっと見た目は悪くなってしまいました。
エッチングの実験自体は上手くいきました。硝酸の濃度がそれほど高くなかったためかどうか、あまり危険な感覚はありませんでしたが、無色無臭(だと思います)で危険なものかもしれないですし、やはり注意する必要があります。また、慣れてくると安全面に対していいかげんになってくるので、やはり注意だけは徹底したほうが良いですね。教訓としては・・・・、自分が『これだ!!』という瞬間をしっかりと見極め、オーブンで一気に乾かして、ポリウレタンスプレーでそれを閉じ込める必要がある、ということでした。